
外反母趾が進行し、保存療法では改善が見られない場合には手術が検討されます。手術には複数の方法があり、変形の程度や症状、年齢、生活スタイルに合わせて選択されます。本記事では、外反母趾手術の代表的な種類とその特徴、メリット・デメリットをわかりやすく解説します。
矯正骨切り術(オステオトミー)
骨を切って位置を矯正する方法で、外反母趾手術の中でも最も一般的です。
- Chevron法(シェブロン法):軽度〜中等度の外反母趾に適用され、第一中足骨をV字型に切って矯正します。固定力が高く、比較的短期間で回復します。
- Scarf法(スカーフ法):中等度〜重度の外反母趾に適用され、第一中足骨をZ字型に切って大きく移動させます。矯正力が高く、安定性も良好です。
- Akin法(アキン法):親指の骨自体を切って角度を修正する方法で、他の手術と併用されることが多いです。
メリット:変形矯正の精度が高く、幅広い症例に対応可能
デメリット:骨が癒合するまでに時間がかかる、術後に腫れが続く場合がある
関節固定術(アーソン法など)
親指の関節を固定し、変形や痛みを根本的に取り除く方法です。主に重度の外反母趾や関節の変形性関節症を伴う場合に行われます。
- 特徴:関節の可動域は制限されますが、痛みの原因となる関節の摩擦がなくなります。
- 適応:高齢者や激しい運動を必要としない人に多く選ばれます。
メリット:再発の可能性が低い、強い痛みの軽減
デメリット:関節が動かなくなるため、動きに制限が生じる
関節形成術
変形した関節部分の骨や軟骨を削り、形を整える方法です。主に高齢者や骨質の弱い人に適しています。
メリット:骨を大きく切らないため、術後の回復が比較的早い
デメリット:再発のリスクがやや高い
軟部組織手術
骨を切らずに靭帯や腱を調整して親指の角度を修正します。軽度の外反母趾に適用され、他の手術と組み合わせて行われることが多いです。
手術方法選択のポイント
- 変形の程度(軽度・中等度・重度)
- 年齢や活動量
- 関節や骨の状態
- 術後の生活スタイル(スポーツの有無、靴の種類など)
まとめ
外反母趾手術には、骨切り術、関節固定術、関節形成術、軟部組織手術など多様な方法があります。それぞれにメリット・デメリットがあり、患者の状態や希望によって選択されます。手術を検討する際は、専門医と十分に相談し、自分に最も適した方法を選ぶことが大切です。